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2010年08月31日

宿題

 母や私が反対しても、ヒロの結婚式は彼女の母親と妹、シズが具体的な
段取りを進めて行った。秋に結婚式と披露宴を横浜のホテルで執り行うこと
となった。
 夏休みの終わりに、ヒロの事で落ち着かない毎日だったが、これで、秋の
結婚式の間、日々の穏やかな生活に戻れると、ホッと一息ついたものだ。

グァムから戻ったサトは、案の定、やり残した宿題に格闘していた。それを
尻目に、タエは涼しい顔をして、好きなTVアニメを見たり本を読んだりして、
のんびりしていた。

 「お兄ちゃん、明日から学校始まるでぇ。宿題、まだ終わらないの?」
 「うるさいなぁ。今、やっている最中や。邪魔しんといて。」
 「明日、始業式やのに、宿題、持って行かれへんかったら、どうなるの?
  先生に怒られるん?」
 「大丈夫やて。2学期が始まって、最初の授業の時まで、出来たら良いん
  だから、まだ、余裕、余裕。」
 「だから、私が言ったやん。グァムのお祖母ちゃんの所に行く前に宿題やった
  方が良いって。なあ、お母さん。」
 「そうよねえ、タエの言う通り。人の言う事聞かないから、今頃になって慌てる
  のよ。今さら、お母さんに泣きついても、遅いんだからね。」
 「お母さん、そんなこと言ったら、お兄ちゃんかわいそうや。手伝ってあげたら、
  ええやん。」

サトも、5歳年下の妹に同情されるとは、なんとも情けない。

posted by たかママ at 22:21 | Comment(0) | 日記
2010年08月29日

溜息

 シズは、ヒロの結婚式の仲人を引き受けるべきではないと言う、私の言葉に
激しく反論してきた。

 「何、言ってるのよ? うちのTは若くても課長よ。課長じゃ世間体が悪く、
  仲人には相応しくないって言うの?」
 「役職がどうこう言ってるんじゃないの。姉弟で仲人を引き受けるのは止した
  方が良いと言っているのよ。」
 「別に、ネェネェが頼まれたわけじゃないから、関係ないでしょう! 私達の
  することにいちいち、四の五の言わないでよ! もしかして、自分達が仲人
  を頼まれなかったから、気に入らなくて文句を言っている訳!」
 「馬鹿な事を言わないでよ。ところで、ヒロは何て言っているの?」
 「さあ? 忙しいいらしくて会ってないのよ。彼女の両親に任せてあるんじゃ
  ないの?」
 「ヒロの気持ちも確かめないで、無責任じゃないの? それでも、仲人は引き
  受けるって訳ね。」
 「当たり前でしょう! 何べんも言わせないでよ! もう決まったことなんだ
  から。」
 「もう、何も言わないけど・・・。 私も母さんも、貴方たちが仲人を引き
  受けることに反対している。この事だけはお覚えておいて!」

 シズに仲人を引き受けるのを止めるように説得したが、無駄だったとグァムの
母へ報告した。前にも増して、電話の向こうで大きな溜息が聞こえた。

posted by たかママ at 22:53 | Comment(0) | 日記
2010年08月26日

立場

 私はヒロに、姉夫婦に仲人を任せる件をどう思っているか、直接、確かめた
かったが、忙しさは相変わらずで、なかなか連絡が取れなかった。

そんな矢先、シズから電話が来た。声が弾んでとても嬉しそうだ。

 「私達、ヒロの結婚式の仲人を頼まれちゃったのよ。姉弟だし、どうかと
  思ってさ。一度は断ったんだけど、向こうの御両親が、どうしてもと言う
  から断れなくって、困っちゃった。」
 「ちっとも、困ってるようには聞こえないわよ。だいたい姉が弟の結婚式の
  仲人をするなんて、変だと思わないの?」
 「変じゃないわよ! T(妹の夫)の実家の親戚にも、そういう例があるって、
  言ってたわよ。別に珍しい事じゃないわよ!」
 「貴方達夫婦、まだ、40前でしょう? その若さで、弟であっても他人の
  仲人をするのは早すぎやしない? 深い人生経験がある訳じゃなし、仲人を
  引き受けるということは若い二人のこれからの人生を見守りながら、支えて
  いくってことなのよ。世間を少し甘く見てない? 例え、彼女の親御さんが
  希望したとしても、“そちらの、ご親戚の方に、もっと仲人に相応しい方は
  いらっしゃいませんか?”と言って、それとなく断るのが姉としての立場
  でしょう?」

posted by たかママ at 23:00 | Comment(0) | 日記
2010年08月25日

 ヒロの意向などお構い無しに、結婚式の準備は始まった。自分の留守中に
勝手に決められた事で彼女と一悶着あったものの、もともと好きで付き合って
きた仲だ。ヒロは、この結婚にしぶしぶ応じる事にした。プレイボーイのヒロも
ついに年貢を納める覚悟をしたようだ。
グァムに戻った母が事の一部始終を電話してきた。驚いた事に、先方は
妹夫婦を仲人にと、希望していると言う。

 「世の中に無い話じゃないかも知れないけれど、それはまずいんじゃな
  いの?」
 「私も、兄弟が仲人をするなんて、初めて聞いて驚いているんだよ。」
 「先方にもお父さんの知り合いとか、親戚の中には、それ相応の地位のある
  人がいるでしょうよ。そういう人にお願いするのが、筋ってもんでしょう?
  式に出席して下さる方々への体面もあるでしょうに。」
 「そうなんだよ。うちは親戚が遠いから、親兄弟、身内だけだから良いけどさ。
  向こうは地元だろう? 式には、親戚やお父さんの仕事関係の方も、出席
  すると思うんだけどねぇ。それがどういう訳か、向こうのお母さんが妙に
  シズ(妹)の事を気に入ってさ。是非、お姉さんのご夫婦に仲人をして
  いただきたいと強硬なんだよ。」
 「それで、シズは何だって?」
 「夫婦で、その気になって始末に負えないよ。お前から、シズの方から断る
  ように、何とか言って貰えないかねえ・・・。」

電話の向こうで母の溜息が聞こえた。

posted by たかママ at 22:56 | Comment(0) | 日記
2010年08月24日

 「ヒロが留守なのに、勝手に進めてしまったら、まずいんじゃないの?」
 「そうなんだよ。でも、一緒に暮らしているしねぇ。」
 「二人とも割り切って暮らし始めたけど、まだ結婚する気はないって、この間、
  ヒロが電話で言ってたわよ。」
 「明日、向こうの両親と会う事になってるのよ。どうしたら良いもんかねえ。」
 「とにかく、ヒロが東京に戻ってから、ちゃんと本人の意思を確かめてからの
  方が良いよ。」

 だが、母は先方に押し切られた形で婚約を了承した。というより、ヒロがはっき
りしないのに業を煮やした彼女の罠にはまったのだった。
 母が東京に来る前に、ヒロの予定を問い合わせてきた時、あいにくヒロは不在
だった。電話に出た彼女は“その頃だったら、東京にいる”と返事したと言う。
 彼女は、両親を説得して母に有無を言わせず、婚約を迫ったのだった。さらに
彼女は妹夫婦に取り入って、母を説得する側に廻ってくれるように頼んでいた。
 当時の母は、東京に来る度に、妹夫婦に世話になっていた。妹夫婦の援護も
あって、母は、ヒロの承諾なしに、勝手に婚約を決めてしまったのだった。
 ヒロがニューヨークから帰って来て、事実を知った時、母は既にグァムに
帰った後だった。時すでに遅し、母は、先方に結納金まで渡していた。

posted by たかママ at 22:33 | Comment(0) | 日記
2010年08月22日

強硬

 どの国にいっても、すっと馴染んでしまうキャラクターのヒロは仕事そのもの
は自分にあっていると納得してやっていた。しかし、ハードなスケジュールの
割には、実入りの少ない仕事だった。東京の高い生活費に比べ、少ない収入。
 それに忙しすぎて、彼女と会う時間もままならない。それを補う為に、横浜に
いる彼女と同棲を始めた。それでも、結婚に踏み切るつもりは無かった。
一方で、会社に契約の見直しを打診したが、聞き入れてもらえず不満を
抱えながら、相変わらず世界を飛びまわっていた。
 
 そんな様子を心配した母が、グァムからやって来た。折りしも、ヒロはニュー
ヨークへ出掛けていた。母が来たことを知った、彼女の両親は二人を結婚させ
るべく、話を勧めてきた。グァムの母親がガソリンスタンドの経営者だと知って、
経済的に裕福な家の息子だと思ったらしい。そんな事が気に入ったのかどうか
知らないが、彼女の両親は二人の結婚に大賛成だと言う。
 本人が留守なのに話を進めていいものかどうか、母は迷って、私へ相談して
きた。

 「あいにく、ヒロはニューヨークへ出張中なんだよ。彼女の母親が、かなり
  強硬に、私が東京に居る間に婚約だけでもと言ってるんだよ。」

posted by たかママ at 22:01 | Comment(0) | 日記
2010年08月19日

男前

 自由なアメリカのビジネス社会で生きてきたヒロにとっては、規則優先の
日本の会社は窮屈でたまらなかったと言う。 一つの仕事を交通費、ホテル
などの現地滞在費、報酬等込みの総額で契約を交わす。
出掛けた先は、ニューヨークをはじめ、アメリカ各地、ドイツ、オーストラリア、
ロシア、中国語の通じるアジア圏等々、かなりの国々に上る。

 その頃の私は、番組の終わりにテロップで流れる “コーディネーター ヒロ”
の名前に、弟の活躍を喜んだ。
 しかし、Kの感想は違っていた。

 「ヒロは、こんな縁の下の力持ちみたいな仕事より、タレントとして表に出る方
  が似合っているよ。日本人離れした男前と、何ヶ国語も喋れる能力がある
  のに、勿体無いよ。」

色白で縮れっ毛のヒロは子供の頃から、“混血(ハーフ)?”とか、“貰いっ子?”
とか、あらぬ疑いを掛けられたこともあった。確かに、外国人の中に混じっても
違和感はない。
 しかし、正真正銘、両親の子で、私の弟であるのは間違いない事実である。

posted by たかママ at 22:13 | Comment(0) | 日記
2010年08月18日

コーディネーター


 母のぼやきを他所に、ヒロは相変わらず女の子に追いかけられる日々を
送っていた。しかし、迷惑していただけでも無かったようだ。中に、横浜から
休みの度にやって来て、熱心にヒロにアプローチする子が居た。パーティー
コンパニオンをしていると言う彼女は、かなりの美人らしい。収入も暇も同
年齢の子達に比べて、はるかに自由で、何度もヒロに会いに来たそうだ。
 二人は恋に落ちた。その後、グァムと横浜、文字通り遠距離恋愛が始まった。

 ヒロは添乗員のほかに、時々、グァムで撮影された日本のTV番組にも出て
いた。当時、大橋巨泉氏が司会をしていた深夜の番組の海外旅行のグァム
特集には、通訳をかねて出演していた。観光地を案内する、ジープの運転手や
牛を引いて現地を案内する青年に扮したり、現地スタッフとして登場していた。
 私達も時々、画面に登場してくるヒロの姿を見つけては、ワーワーと騒いだ
ものだ。その縁で後に、日本TV系列の番組企画会社に席を置く事になった。
 それも、横浜在住の彼女との距離を縮めるためだった。

 英語、中国語が堪能なコーディネーターとして、外国への取材出張が主な仕事
だった。コーディネーターと響きは良いが、現地へ先乗りして番組の下準備は
なかなか大変な仕事だったらしい。 

posted by たかママ at 22:45 | Comment(0) | 日記
2010年08月17日

旅の恥はかき捨て

 日本には昔から、“旅の恥はかき捨て” ということわざがある。若い女性に
限らず、旅先では開放感からか羽目を外してもあまり気にならないものらしい。 
 ヒロが接した女性達もその限りでなく、かなり積極的にアプローチしてきた。
手紙だけなら、まだ可愛い方だ。ヒロ、会いたさに何度もグァムにやって来て、
ストーカーまがいに付きまとわれた事も数え切れないくらいあったという。
 
 「俺は、仕事の延長で親切にしただけなのに、思い違いも甚だしく、本当に
  参っちゃうよ。」

母は、そんなヒロに何度も忠告したと言う。
 
 「その気も無いのに、あんまり親切にすると女は付け上がると、何回も
  言ったのに、聞かないからよ。それにしても、最近の日本の女はどうして、
  こうも恥じらいが無くなったのかねぇ。ビーチに行くと、日本人の女の子が
  グァムニアンの男と肩を組んではしゃいでいるのをよく見るけど、本当に
  情けなくて見てられないよ。相手は、日本人は金払いが良いから、まとわり
  ついてたかるのが目的なのに、もててると、勘違いしているのさ。」

posted by たかママ at 22:19 | Comment(0) | 日記
2010年08月15日

人気

 末弟のヒロは旅行社の現地添乗員をしている。グァムには日本から初めて
海外旅行を経験する若い女性が大勢やってくる。
 彼女達はグァムに降り立って、接する初めての現地添乗員が日本人である
のに安心するらしい。大抵の場合は、現地の日本語が話せる人が、添乗員と
してツアーに付き添っている場合が多い。そんな中で、日本語、中国語、英語が
堪能なヒロは人気の添乗員だった。
 人気の原因は、日本人というだけではなかった。日本からグァムへの到着便
はほとんどが明け方である。ヒロはサービス精神が旺盛で、空港からホテルへ
送った後や、フリータイムにツアーに組み込まれていない、地元の若者の行く
穴場のスポットへ案内したり、一緒に遊んでいたのである。ヒロにとっても、
同世代の日本の女の子と遊ぶのは楽しかったに違いない。

 「僕、お祖母ちゃんが読んでも良いと言ったので、その手紙を何通か
  読んだんだ。
  全部、ヒロおじちゃんが一緒に写っている写真が入ってたんだよね。」
 「その写真、綺麗な人だった?」
 「ううん、そうでない人の方が多い。そして、必ず“また会いたい”とか、“好きに
  なったので付き合って下さい”とか、“タレントみたいで格好いい”とか書いて
  あって、面白かった。」

posted by たかママ at 22:10 | Comment(0) | 日記
2010年08月12日

手紙

 「お母さん!お母さん! ヒロおじちゃんて、すっげぇ、モテるんやでえ。
まるで、芸能人みたいだよ。」
 
サトが思い出したように叫んだ。
  
 「本当に? でも、芸能人は言い過ぎじゃない?」
 「ほんま、ほんま。毎日、日本からの手紙が山のように来て、片付かないので、
  お祖母ちゃんが段ボール箱に入れて押入れの中に放り込んであるんやて。
  机の引き出しにも一杯入ってて、溢れていたんだ。」
 「ぜ〜んぶ、女の人からのお手紙やて。お祖母ちゃんが、郵便局のお手紙
  の箱(私書箱)がヒロおじちゃんの手紙だけで一杯やから、困るって言って
  はったよ。なあ、お兄ちゃん。」
 「大事な仕事の手紙と混じって選り分けるのが邪魔くさいって、お祖母ちゃん、
  イライラしていた。それに、ほとんど封筒を開けて見てないんだよ。大体、
  旅行に来た時に一緒に撮った写真が入ってるみたい。見ないなら捨てたら
  いいのに、なかなか捨てられないらしいよ。」
 「開けて見なければ、どんな内容か分からないのに、女の子からの手紙
  だったら、俺やったら、るんるんで開けてみるのに。羨ましい。もったい
  ない話だなあ。」

posted by たかママ at 22:54 | Comment(0) | 日記
2010年08月11日

バックサウンド

 お土産の中に1本のビデオテープが入っていた。
 「ああっ! これ、海に行った時にグランパーがビデオにとってくれた
  やつだよ。」

 サトがグァムに出掛ける前にねだっていったデッキで、早速再生してみた。
水着のサトとタエが海や岩場で遊んでいる映像が移っていた。何故か、映像
にはバックにイメージビデオのように、映画のサウンドトラックのようにロマン
チックな音楽が流れていた。

 「何これ? 綺麗な音楽が流れていて映画みたいじゃないか?」
 「何かイメージビデオみたいだわね。サトやタエの声がちっとも入ってない
  じゃない!」
 「グランパーが編集したんだよ。」
 「こんな、バックサウンドなんか要らないから、遊んでいた生の声が聞きた
  かったわよ。」
 「まあ、そう言うなよ。せっかくビデオテープにダビングしてくれて、遊んでいる
  様子が分かったしさ。それにしても、ずいぶん曇ってて天気が悪そうだね。」
 「天気は良かったよ。昼間は暑いから夕方、出掛けたからだよ。」 

 延々と流れるテープは、最後までサトとタエの声は聞けなかった。
私は、後に母に文句を言った。
 「つまらない編集をして、せっかくのテープが台無しになったじゃない!」

posted by たかママ at 22:31 | Comment(0) | 日記
2010年08月10日

迷子

 「家の周りを探検しようと思ったけど、勝手に一人で出歩いてはいけない
  って、お祖母ちゃんが言うんだよ。だから、どこにも行けなくて退屈だった!」
 「日本と違うし、迷子になっても言葉が通じないでしょ? だから、出歩くの
  を止めたのよ。」
 「お兄ちゃん、それから、誘拐されたら大変だっても言ってたよね。」
 「そうや、そうや。誘拐されて、遠い外国へ連れて行かれて、売られてしまう
  かも知れないって、脅かされたよ。」
 「日本は島国だから、外国人は珍しいけど、アメリカや陸続きのヨーロッパ
  国々はいろいろな民族が入り混じっているから、見知らぬ東洋人や日本人
  の子供がいても気にならないんだって。そんな雰囲気を利用して、誘拐して
  子供の欲しい金持ちに売る悪い人もいるらしいよ。」
 「お義母さんの所は、隣の家ともずいぶん離れているし、何かあって、叫んでも
  聞こえないよな。」

 母の家は土地が1000坪もある。国道に面しているガソリンスタンド。その裏
にある7、80坪程の住まい。後は鶏小屋。畑、マンゴーやスターフルーツの木が
数本植わっているだけで、後は、手が付けられなくて、雑草が生い茂っている。
そんな所で、迷子になったら探すのは難しい。母は用心して、ふらふら出歩き
たいサトに厳しく注意したようだ。

posted by たかママ at 22:09 | Comment(0) | 日記
2010年08月08日

治安

 サトは、圧力鍋のお土産を持たされて迷惑だったかも知れないが、仕事と
家事の両立で、忙しい毎日を送っている私には、有難いお土産だった。
その後の料理時間の短縮に圧力鍋が大いに役立ったのは言うまでも無い。
あれから、何台目になったか定かではないが、今は、我が家に無くてはなら
ない調理器具である。

 子供達は、さぞ、楽しい夏休みを送ってきたと思ったが、そうでもなかった
ようだ。

 「どこへ行くにも車でさ、お祖母ちゃんやヒロおじちゃんに、連れて行って
  貰わなければいけないし、不便でしょうがなかったよ。」
 「でも、あちこっち、連れて行ってくれたんでしょう?」
 「それはそうだけど、近所にお店もないし、自動販売機もないんだよ。」
 「飲み物は、冷蔵庫に山のように冷えているから、買いに良く必要は無い
  でしょう? それに、グァムでは日本と違って治安が悪いから、そういう
  ものはないのよ。」
 「なんで?」
 「現地の人は、自動販売機は道端に金庫が落ちているくらいにしか思ってない
  から、据え付けたとたんに、販売機ごと持って行かれちゃうんだって。公衆
  電話や、公衆トイレのドアまで、取られちゃうらしいよ。」
 「それって、泥棒やん!」

posted by たかママ at 21:49 | Comment(0) | 日記
2010年08月05日

圧力鍋

 母は子供達に抱えきれない程、たくさんのお土産を持たせてくれていた。
ハワイやグァムの定番のお土産、マカデミアンナッツのチョコレートや自家製
のバーべキュー風にローストしたビーフ。これはKの好物だ。普段から、味付け
からローストまでダディが自分で作っていた。いろいろなスパイスをブレンドした
タレに一晩漬け込んでから焼くので、とても手間が掛かっている。
   
 驚いたのは、お土産の中にアメリカ製の大きな片手の圧力鍋があった。以前、
私がグァムに行った時、母の使っていた圧力鍋を羨ましがっていたのを、母は
覚えていたらしい。

 「何も、こんな重い物をお土産に持たさなくても良いのにねぇ。」
 「お義母さんらしいな。ありがたいことじゃないか。お母さんが圧力鍋を欲し
  がっていたのを覚えていてくれたなんてさ。」
 「僕も、重いから嫌だって言ったのに、お祖母ちゃんが、飛行機が運んでくれる
  から大丈夫だって言ったんだよ。それに、空港にはお父さんが車で迎えに
  来てくれるから、心配要らないっても言ってたよ。」
 「圧力鍋なんて、こっちでも手に入るのにね。やっぱり、親だわねえ。」

 確かに、当時は現在ほど、一般的に普及していなかったように思う。あの、
“シュウッシュウッ”と勢いよく蒸気の噴く音が恐いので、使えないという
友人も居たものだ。
 
posted by たかママ at 22:36 | Comment(0) | 日記
2010年08月04日

くらげ

 時間は、こちらの暇や忙しいとか、関係なく確実に過ぎていく。夏休みは
終わりに近づき、サトやタエが帰って来ると連絡があった。二人ともこんなに
長い間、親から離れて過ごしたことはなかった。母の所とは言え、外国である。
 きっと心細かったに違いないと思っていたが、空港に降り立った子供達は
意外に元気そうだった。
 二人は私たちを見つけると満面の笑みを浮かべながら、手を振って到着口
から出てきた。帰りの車の中では、親も子も離れていた時間を確かめるように
喋り続けた。

 「グァムは楽しかった?」
 「おばあちゃんや叔父ちゃん達、元気にしていたか?」
 「ウン、楽しかったよ。いろんなとこへ連れて行ってくれたよ。」
 「海で泳いだのか・?」
 「お父さん、グァムは廻りは全部海だよ。」
 「午後3時を過ぎないと、海へ入っちゃいけないって、おばあちゃんが言って
  たよ。」
 「ああ、それは、地元の人は、昼間はくらげが出るから危険なんだって。海へ
  入るの、くらげが出なくなる夕方になってからだって。」
 「でも、日本人の旅行者は朝から泳ぐ人がいるから、くらげに刺されて、馬鹿
  だなぁとおばあちゃんが言っていたよ。」

posted by たかママ at 22:20 | Comment(0) | 日記
2010年08月03日

夏休み

 子供達がグァムに出掛けて、静かでのんびり出来たのは2,3日だけだった。
直ぐにその静けさに、二人共、間が持たなくなってしまっていた。 子供達の
存在がいかに大きなものか、思い知らされた。食事中の話題と言えば、サトや
タエがグァムでどうしているかと言うことだった。
 
 「あいつら、お祖母ちゃんの言うこと聞いて、ちゃんとしているかなあ。」
 「小さい子供じゃないから、大丈夫よ。」
 「向こうに着いたと電話くれたきりで、何にも言って来ないなあ。電話くらい
  くれたらいいのに。」
 「国際電話だから、そう簡単に自分で出来ないわよ。」
 「そうだよな。それに、あいつらなりに気遣って、家に電話したいなんて、
  言えないかもな。」
 「幼い時から、一緒に住んでいるお祖母ちゃんだったら、我儘も言えるかも
  しれないけれど、年に一度、会えるか会えない肉親だもの遠慮している
  のよ。」
 「お義母さん達も、よく二人を呼んでくれたよ。感謝しなくてはな。今年は二人に
  とっても思い出に残る良い夏休みになるだろうよ。」

 “本当は、北海道の方が、夏休みの子供達にとって、手頃の旅行先なのよ“
私は言いかけて、言葉を飲み込んだ。

posted by たかママ at 22:16 | Comment(0) | 日記
2010年08月01日

365日

 夏休みなどの長期の休みになると、母親達は三度三度の食事の準備に
追われる。友人の間でも、夏休みが近づくと、このことが話題になった。

 「夏休みになると、食事の世話が大変やわ。」
 「そうやなあ。学校がある時は、給食があるから、助かっているけどな。」
 「自分一人やったら、夕べの残り物とか、お茶漬けでもなんでもいいやん。
  子供たちがいたら、そうはいかへんしな。」
 「でも、うちは毎日、夫が昼食に帰ってくるから、普段でもお昼の用意はしなけ
  ればいけないから、夏休みでも一緒よ。」
 「そうかぁ。たかママさんの所は、ご夫婦で自営やもんな。それも大変やな。」
 「うちはその点、サラリーマンで良かった。でも、お盆休みになると、かなわん
  でぇ。暑いのに、家で一日中、TVの前でゴロゴロされてみい。嵩高くて(図体
  が大きくて)、暑苦しくてうっとしいで。」
 「確かに、“亭主、元気で留守が良い”と言うけれど、それは言いすぎよ。私の
  所は自営だから、365日一緒に居るのよ。」
 「息を抜く暇も無いんやなあ。私には到底、耐えれへんわ。」
 
 子供達が留守だとは言え、私達の仕事のペースは変わらない。と言うより、
子供達が留守なのを良いことに(?)、仕事の終了時間が徐々に延びてしまい、
夕食の時間は遅くなりがちだった。

posted by たかママ at 22:16 | Comment(0) | 日記
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