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2010年01月31日

自転車

 家の前の6メートル道路を挟んで、向かい側の右角に生垣に囲まれた、
こじんまりした木造の平家がある。土曜日の午後ともなるとその生垣の周り
には、溢れんばかりに子供用の自転車が列をなして止まっていた。時々、
道路のはみ出した自転車をその家の老婦人が整理をしながら、子供達に
注意をしている。

 「あんたら、ちゃんと止めなアカンて、いつも言うてるやろ? 車が
  通らはるから。邪魔になるやから、気ィ付けて置くんやで。」

 私もその前を通過する時、道路をふさがれ、困ってしまった事があった。
車から降りて、はみ出した自転車を塀側に寄せながら、
 “なんで、私が整理して、走らなくてはいけないのよ。“ 
なんて思ったものだった。 この家の老夫婦の家に、何で子供が集まるのか、
不思議だった。

そんな時だった。タエが、お習字を習いたいと言い出した。

 「お母さん、私もお習字、習っても良い?」

 タエが自分の方から言い出すなんて、珍しい事だった。

posted by たかママ at 21:27 | Comment(0) | 日記
2010年01月28日

勧誘

 「そうなのよね。近所の人や郵便屋さんとか、本当に用のある人が来た時に、
  チャイムの音だけでは、区別が付かないし、無視する訳にもいかないし、
  何か、他に良い方法がないかしら?」 

 確かにKの言うように、『セールスお断り』の貼り紙が、効果があるのかどうか
疑わしかった。それでも、しばらくの間は、迷惑な訪問者が少なくなったような
気がした。

 しかし、それも束の間、しばらくすると、変な訪問者が後を絶たなかった。
中でも一番多いのは、保険のセールスと宗教の勧誘だった。チャイムに急き
たてられて、慌てて玄関の戸を開けると、いずれの場合も女性の二人連れが
多い。宗教の勧誘の場合は、白い手袋に帽子をかぶり、あくまで上品に装い、
良家の奥様風に穏やかな感じである。手にはカバンを持ってて、一目でそれと
分かった。男女のペアの時もある。始めのうちは、取りあえず応対して断って
いたが、度重なると、見るからに、その宗教の団体と分かるようになった。
戸を開けて、その姿を見るなり、間髪を入れず、丁重に断る。

 「宗旨が違いますので・・・。」

 仏教信者の友人に教えて貰った撃退法なのだが、これは事の外、効果が
あった。

posted by たかママ at 22:24 | Comment(0) | 日記
2010年01月27日

ピンポン、ピンポン

 しつこいセールスに悩まされた私は、玄関のチャイムの横にマジックペンで
くっきりはっきりと書いた張り紙をした。

  『仕事中につき、セールス、宗教の勧誘等、固くお断りします』

 以前にも、仕事中にチャイムが鳴ったが、筆が放せず出て行くことが出来
なかった。いつまでも鳴っているチャイムにイライラしながら、ようやく筆を
置いて出て行くと、宗教団体の勧誘だったことがあった。それ以来、張り紙を
しようと思いつつ、先延ばしにしていた。今度のことで、やっぱり早く貼って
おけばよかったと思い知らされた。

 夕方帰ってきたKが、その張り紙を見て言った。
  
 「表の張り紙、どうしたんだ? ずいぶん目立つなあ。」
 「そうでしょう? わざと、目立つように書いたのよ。最近、やたらに変な
  セールスがやって来て、困るわ。彩色中だと、直ぐに立てないし、出て
  行かないと、いつまでもピンポン、ピンポンうるさいのよ。」
 「でも、効果あるのかなあ? かえって、家に居ると思われて、逆効果なん
  じゃないか?」

posted by たかママ at 22:14 | Comment(0) | 日記
2010年01月26日

ソフト

 座り込んで動かない私を心配して、サトとタエが玄関へ飛んできた。

 「お母さん、大丈夫?」 

とタエが心配そうに、私の顔を覗き込んだ。サトも後ろから声を掛けたきた。

 「お母さん、ほんまに大丈夫? あのおじさん、ずいぶんいろんなこと、
  言ってはったでしょう? 僕達のゲームソフトのことも言ってたみたい
  やけど?」
 「高いゲームソフトを、いっぱい買ってあげるお金があるなら、お父さんに、
  上等のお布団を買ってあげなさいって、しつこかったわ。お母さん、本当に
  参った、参った。」
 「でも、ソフトはお年玉をタエと出し合って買ったんだよ。 それと、お誕生日
  にプレゼントに貰ったものなのにさ・・・。」
 「それから、ヒロ叔父ちゃんにも、お土産の代わりに買ってもらったよ。」
 「そうだね。皆が買ってくれたものが、増えてきたのにねぇ。嫌なことを言う
  人だったわ。」
 「お母さん、あのおじさんのこと、警察に言うの?」
 「言わない、言わない。タエ、もう帰ったから、心配しなくて良いよ。]

posted by たかママ at 22:22 | Comment(0) | 日記
2010年01月24日

セールストーク

 「ちょっと、失礼じゃないの? うちの子供達が、何本ゲームソフトを持って
  いようがどうしようが、貴方に関係ないでしょう?」
 「そやけど、お子達にソフトを買わはるのんを、ほんのちょっと我慢して
  もうたら、お父さんの健康によろしい布団が買えますやん。」
 「誰に買ってもらったのかも、知りもしないで他人の事がよく言えるわね!
  貴方! セールスに来たんでしょう! 誰が、我が家のお金の使い方まで、
  口出して良いと言ったの?余計なお世話だわ!
  とにかく、要らないんだから、早く帰って!!」

私は、セールスの男を強引に、玄関の外に押し出した。追い出した後、玄関
の戸をピシャリっと閉め、鍵を掛けた。

 「奥さん、ほんまに買うといた方がよろしいで。後で、あの時買うといたら
  良かったと後悔しても知りませんでぇ。」
 
男は押し出された後も、がん間のドア越しに、まだ、しつこくセールストークを
続けていた。私は、ほとほと疲れてしまって、玄関にへたり込んでしまった。

posted by たかママ at 23:27 | Comment(0) | 日記
2010年01月21日

一枚

 「本当に要らないんです。それに、うちは主人の母が田舎からこしらえて
  送ってきますので、わざわざ、買わなくても良いんです。」
 「そんな事言わんと、外で一生懸命働いているお父ちゃんの為に一枚、
  買うてあげてぇな。これに寝ると、疲れもよう取れるって評判なんよ。
  角の△△さんにも買うて貰うたんや。悪い事言わんて、一枚、買うて頂戴。
  分割で良いさかい。」
 「△△さんが、買おうとどうしようと、人様の事はどうでも良いんです。
  とにかく、うちは要りません。これから、仕事に掛からなくてはいけない
  ので、もう帰って貰えません?」

 あまりのしつこさに、私はイライラして来て、少し声を荒げた。その声に、
ゲームに夢中になっていた二人が驚いたのか、怪訝そうな顔で寄ってきた。
 セールスマンは、私の言っていることを無視するかのように、言葉を続けた。
 「お子達、ゲームしてはりましたなぁ。ようけ、ソフト持ってはりますやん。
  それも、安いもんやないですやん。そんなん、買うてあげるお金があったら、
  この布団の一枚くらい安いもんでっせ。」
私は、いよいよ頭に来て、ついに切れてしまった。

posted by たかママ at 21:28 | Comment(0) | 日記
2010年01月20日

コツコツ

 その頃、サトとタエはゲームに凝っていた。最初に手に入れたブロック崩しは
卒業し、マリオブラザースや野球等々。ゲームソフトも少しずつ増えていた。
 ある休日の午後、二人は仲良くゲームに興じていた。その日は珍しくサトの
部活が休みで、久しぶりのゲームに二人のテンションは上がり、楽しそうな歓声
が家中に響いていた。
 二人の楽しそうな様子を見ながら、私は台所で洗い物をしていた。誰か、台所
の窓をコツコツ叩きながら、“奥さん、奥さん”と呼ぶ声がする。玄関に出て
みると、中年の見知らぬ男性が愛想笑いを浮かべながら、立っていた。

 「何か御用ですか?」
 「“○○の友” と言います。今、この辺を廻らしてもうてるんですが、
  奥さんの所も一枚、どうですやろ?」

“○○の友”は、ハワイ出身の外国人力士が寝具のTVコマーシャルで、結構
知られていた。セールスマンは胸の名札を指差しながら、ずかずかと玄関に
入って来た。
 「いえ、うちは。結構です。間に合っていますから・・・。」
 「いや、買うてくれへんでもよろしいさかい。一回手触りだけでも試してみて
  くれへん? 羊毛の3重構造になってるし、健康にとってもよろしいんよ。」

posted by たかママ at 22:34 | Comment(0) | 日記
2010年01月19日

アクシデント

 買い取った反物は、失敗した本人に責任を取って買い取って貰うには
あまりに高価である。内職の工賃で相殺すると、2、3ヶ月は只働きになりかね
ない。彩色は私が仕上げてあるので、その代金は含まれないが、白生地代や
引き染め(地染め)の代金を原価で引き取らせて貰っても、最低7、8万円
になってしまう。正規の商品なら、仕立て上がりで50万円は下らないので、
欲しい人にとっては、お買い得だ。
失敗したと言っても、はみ出した所は“柄足し”をして、着用するには何ら、
差し支えないように加工してある。 元々のデザインと違う柄が足されしまう
ので、正規の反物として売れなくなってしまうのである。

 こういうアクシデントが年に2、3回は起きる。その都度、私や外注さんの
友人、知人、家族の友達、ありとあらゆるツテを使って、買い手を捜した。
さすがに、京都は着倒れの街、買取になった殆どの反物に買い手が付いた。

 中でも、Tさんのお母さんの友人のUさんには、何回も買ってもらった。彼女は
趣味のカラオケのステージで着るので、何枚も欲しかったという。手書き友禅の
着物は正価で手に入れるには高価で、原価で買えるると、たいそう喜んでいた
私達も負担しなくてもよくなり、いつもホッとしては感謝していたものた。

posted by たかママ at 23:04 | Comment(0) | 日記
2010年01月17日

見本

 職先から入る反物は、1デザイン10反の3パターン30反が1セットである。
色が決まると、同じ色合いを使って、まず3パターンの見本反を仕上げる。
以前、留袖を専門に彩色をしていた時は、常に80色ぐらいの色を使って
いたが、この頃になると、2、30色で良かった。
 同じ色を使っても、柄が違えば雰囲気も違い、全く違う反物になる。その
変化がまた楽しかった。見本が完成しても、職先から直ぐにOKが出ることは
稀である。この見本の出来具合が次の注文に繋がるので、私は必死だった。
見本作りのセンスと、彩色の実力が問われることになる。

何度かの打ち合わせと修正を繰り返し、ゴーサインが出ると外注用の見本
を大急ぎで準備し、色を揃えて、やっと外注に出すことが出来るのである。
 色目は一度気に入って貰えると、デザインが変わっても、次々に注文が入り
仕事に事欠くことは無かった。しかし、仕事の量が増えると共に責任も重く、
外注の失敗で買取を余儀なくされることも度々あった。
彩色の染料がはみ出したり、汚したりした場合に商品価値が下がってしまい、
正規の商品として納品できなくなる。結果、責任を取り、買い取らざるを得ない
のである。買い取り商品は職先で地染めをして、仮絵羽に仕上げて、また私の
所に戻ってくるのである。

posted by たかママ at 22:49 | Comment(0) | 日記
2010年01月14日

始動

 好景気の波は私達の仕事にも、確実にやって来た。これが、バブルだと
いうことは大分、後になって分かったのだが・・・

 Kも、新年早々から予約が舞い込み、例年より早く始動した。私は年明け
の初荷で納品する商品の染色に追われ、正月休みどころではなかった。
次から次に注文があり、手付かずの反物が2階の部屋を占領していた。
置き場所にも困り、押入れの寝具を引っ張り出し部屋の隅に積んで、替わりに
反物を入れた。高価な預かりものである。粗末には出来ない。
 毎日のように、徹夜で反物に向かっても、職先の要望に応えられる状況では
なかった。当然、外注の皆にも無理を言う事になる。たくさんの注文をこなす
ために、新たに外注を募集、その数は増え、20人にもなった。
 私は見本と色作りに追われ、1日の半分は外注周りに時間を費やす有様
だった。

 見本の反物は職先から渡された、小さな写真を見て色を作り、彩色をした。
写真とはいっても、鮮明な物ではなく、拡大鏡を使って目を凝らして見ても、
はっきりと分かる訳ではない。自分の勘と、職先の好みそうな色合いを出す
のである。

posted by たかママ at 22:49 | Comment(0) | 日記
2010年01月13日

ぐずぐず

 短い冬休みが終わり、新学期が始まった。子供たちは、校区が同じと言う
ことで何の違和感もなく、地域に溶け込んでいったようだ。

 しかし、私達の気持ちに、毎月8万円を越える住宅ローンは事の外、圧し
掛かっていた。始まったばかりのローンに、Kは15年も払い続けて行く事に
不安を感じ始めていた。

 「お前が家々って騒ぐから、分不相応な借金を背負ってしまった。本当に
  15年間、払っていけるかどうか心配だよ。」
 「何、言ってるの? まだ、始まったばかりじゃないの。
  サトとタエの嬉しそうな顔を見たら、ぐずぐず言っている場合じゃないわよ。
  サトは4月から中三になるのよ。前の家では受験勉強をする場所も無かった
  のよ! 今更、ぐずぐず言っても仕方ないでしょう? 二人で頑張って、
  働いて返していくしかないじゃない!」
Kのこんな言葉に、私はイライラして言葉を荒げる事もしばしばだった。

 世の中は、今までに無い好景気を思わせるような、動きが感じられていた。
世に言うバブル景気の到来だ。Kも私も、これまで以上の忙しさに、毎日
必死だった。

posted by たかママ at 22:20 | Comment(0) | 日記
2010年01月12日

自分の世界

 ようやく、年も明け、久しぶりにのんびりした正月になった。 
それもつかの間、昭和61年のお正月休みは、年末に片付けられかった
引越し荷物の整理に追われた。東京を引き払ってから6年目の年の初めだ。
 
 「たった、一日、日が変わるだけで何でこんなに忙しいのかしら?」
 「まあ、そう言うなよ。そういうけじめがあるから、普段出来ない事を
  やるんだよ。
 「そうね、年の瀬に引越しなんてしたから、余計に忙しく感じたのかも
  しれないわね。」

 除夜の鐘を聞いてから、年越し蕎麦を食べ、先が思いやられる新年になった。
なにより、これから15年間ローンを払っていく覚悟をした年の始めでもあった。

 子供たちは、初めての自分の部屋にとても嬉しそうだった。
二人とも、思い思いに自分の部屋で、自分の世界にいるようだった。
これまでは、寝るのも起きるのも、勉強するのも遊ぶのも、全て一部屋で
過ごしていたのだ。
 子供たちの嬉しそうな顔を見ているだけで、私達は幸せな、暖かい気持ちに
なった。

posted by たかママ at 22:33 | Comment(0) | 日記

新年のご挨拶

 新年、あけましておめでとうございます。

 還暦を機にブログ“私と沖縄”を書き始めて、早4年目に突入します。
 常々、私のつたない文章を読んで頂き、有り難く感謝申し上げます。
 最近は、沖縄とかけ離れたテーマやエピソードが続いていますが、常に
 私の原点は沖縄にあります。
  今年もこの事を心に留めながら、焦らずのんびりと書き綴って行きたいと
 思っています。
  
  どうぞ、今年も宜しくお願い申し上げます。

                              たかママわーい(嬉しい顔)
posted by たかママ at 22:24 | Comment(0) | 日記
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